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動物の帰巣本能について

帰巣本能とは、遠く離れた場所から巣や家に自ら帰ることが出来る生まれながらに持った特別な能力のことです。
優れた方向感覚を持つ動物といえば、「空」では伝書鳩や渡り鳥、「海」ではクジラなどが有名ですが、「陸」に生きる犬や猫にもやはりその能力は備わっているようです。
私自身、幼少時代に飼っていた犬が散歩中にはぐれて迷子となり、1週間ほど経過しても見つからず、もう駄目かと諦めかけていた頃、痩せ細った状態で自力の帰宅を果たしたという経験があります。2008年には米ネバダ州の山岳地帯で迷子になったハスキー犬が、山谷を越え砂漠を抜け、120キロもの距離を3週間かけて移動し、無事帰宅したという事例もあるほどです。

犬の祖先については、DNAの研究や解剖学的な分析で「狼」が有力なルーツであることが解っています。野生動物である狼は「自身の位置認識・方位判断」について優れた能力を持っていますので、祖先の1つに「狼」をもつ「犬」にもまたその能力が備わっているのもうなずけます。
猫も単に嗅覚や方向感覚だけでなく、特別な能力を使っているのは確かなようです。
昔、イタズラばかりする飼い猫に飼い主が腹を立て、自宅から数キロ離れた山奥へ連れていき、捨ててきたはずの猫が、3日後には帰っていた話を聞いたことがあります。
この不思議な能力には諸説ありますが、動物には地図やコンパスなどを使わずに目的地への正しい方向を認識できる自然のナビシステム(自立航法)が備わっていると考えられています。

有力な説として、
感覚地図説・・・視覚・聴覚などの感覚器官から得られる情報を元に、頭の中に一種の地図のようなものを作り上げているという説。
磁気感知説・・・コンパスと同じ機能をもつ物質が体内にあり、方角を認知することができるという説。
方向細胞説・・・方向細胞という脳細胞の働きにより、暗闇など視覚情報がない状況でも目標の方向に頭が向いた時だけ活性化し、目的地を察知するという説があります。

以上のように自然のナビシステムは、複数の資質が相互に機能することで構築されているようです。
しかし、全ての動物にこの能力が備わっているならば、迷子のペットは存在しないのかもしれません。人間にも方向感覚に優れた人と、そうでない人がいるように、動物の帰巣本能の資質にも大きな個体差があるようです。特に日本のように車道や線路などが複雑に入り組んだ環境で、一旦迷子になった場合、信号や踏切をきちんと守って帰るのは至難の業です。鑑札やライフチップ(マイクロチップ)は人間に保護された際に存分に効果を発揮しますが、愛するペットが迷子になってしまう前に、脱走防止策やポスター用の写真の準備、さらには日常の行動パターンやテリトリーを把握しておくなど普段からの心掛けが大切といえます。

動物にとっての「巣」とは、安全で楽しく、おそらく最も居心地の良い場所なのでしょう。それは大好きな貴方の腕の中や膝の上かもしれません。
それぞれの動物がそれぞれの「巣」をもっています。世界で一番居心地の良い、大切な場所を・・・


JLPR代表 遠藤 匡王

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